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安井息軒の夫人『佐代』を描いた森鴎外の『安井夫人』

森鴎外の『安井夫人』に描かれている「岡の小町」と呼ばれた妻、川添佐代も有名です。ある意味、後世の安井息軒の名を高めたともいえる 森鴎外の『安井夫人』に描かれる佐代さんは非常に美人だったそうです。


「半九公園」にある清武町中野に保存されている安井息軒旧宅の隣にあるきよたけ歴史館の中に安井息軒と妻・佐代の碑があります。

森鴎外の『安井夫人』から往時を思う

森鴎外の「安井夫人」「魚玄機」「じいさんばあさん」「山椒大夫」「最後の一句」には印象的な女性が登場します。通してのテーマは、特に「安井夫人」には「女性の人生とは?」というテーマがあります。当時は江戸が終わり、新しい時代。生き方や考え方も変わっている中で、「変化しているもの」「変化しないもの」を女性の立場でみていると思います。その中で森鴎外は『安井夫人』を通して一人の女性の生き方、考え方を興味深く感じたのではないでしょうか。
時代を通じて変わらないのは「女性の考え方は意外と柔軟?」と思っているのは私だけでしょうか!?

参考文献:森鴎外『安井夫人』

仲平(ちゅうへい)さんはえらくなりなさるだろう」という評判と同時に、「仲平さんは不男(ぶおとこ)だ」という蔭言(かげこと)が、清武(きよたけ)一郷(ごう)に伝えられている。
見い。きょうは猿がひとりで行くぜ」
「猿が本を読むから妙だ」
「なに。猿の方が猿引きよりはよく読むそうな」
「お猿さん。きょうは猿引きはどうしましたな」
〜続く

安井息軒の地元での評価がありありと浮かびます。博学、努力の人でありながら風体で評価されてしまう。いつの時代にもあります。そのような中、不屈の心と負けん気で安井息軒は大人物になります。『安井夫人』それを予感していたのか佐代は自分から姉に変わって安井息軒の妻になります。うーん、ドキドキ!当時にしては積極的だったのでしょうね!

でもあの内気(うちき)なお佐代さんが、よくあなたにおっしゃったものでございますね」
「それでございます。わたくしも本当にびっくりいたしました。子供の思っていることは何から何までわかっているように存じていましても、大違いでございます。お父うさまにお話し下さいますなら、当人を呼びまして、ここで一応聞いてみることにいたしましょう」こう言って母親は妹娘を呼んだ。
 お佐代はおそるおそる障子をあけてはいった。
 母親は言った。「あの、さっきお前の言ったことだがね、仲平さんがお前のようなものでももらって下さることになったら、お前きっと往くのだね」
 お佐代さんは耳まで赤くして、「はい」と言って、下げていた頭を一層低く下げた
〜続く

『安井夫人』となる佐代が自分から妻になるといった場面ですね。地元で評判の美人で明るいといわれている佐代が、安井息軒の妻になるには周囲の人は驚いたようです。でも、安井息軒の魅力、素晴らしさは「佐代」のみが知っていたのでしょうね。

十月に学問所の明教堂が落成して、安井家の祝筵(しゅくえん)に親戚故旧が寄り集まったときには、美しくて、しかもきっぱりした若夫人の前に、客の頭が自然に下がった。人にからかわれる世間のよめさんとは全く趣をことにしていたのである。
〜続く

『安井夫人』佐代と安井息軒の祝筵(しゅくえん)場面。安井息軒もこのときは鼻高々だったのではないでしょうか。しかし、佐代の先を見る目、人を見る目、自分を信じ、自分の考えで行動したその心意気はさすがに宮崎の女性といいたいところですね!


学習塾「明教堂」が安井息軒の功績を今に伝えています。

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